PAS2023 柿崎麻莉子×唐津絵理 対談 vol.1 「不眠」をテーマに取り組む新作『Can’t-Sleeper』 | Dance Base Yokohama

「パフォーミングアーツ・セレクション2023」にて作品を発表するアーティストとの対談シリーズ。 今回は、柿崎麻莉子と唐津絵理による対談のvol.1をお届けします。 ■vol.2はこちら 唐津絵理(以下唐津):本日はお時間いただき、ありがとうございます。麻莉子さんと最初にお仕事をやらせていただいたのは、2020年の「ダンス・セレクション2020」(愛知県芸術劇場)でのソロの作品『The stillness of the wind』ですね。麻莉子さんがバットシェバ・アンサンブルやシャローン・エイヤールのL-E-Vダンスカンパニーといった最先端の大きなカンパニーで、踊られていらっしゃったダンサーということはもちろん知っていたけれども、この作品を最初に見た時に、現代的なダンサーというよりは、むしろ原初的な身体、ダンス以前の身体をとても強く感じたんですね。近年、ダンス作品というと、ダンスを通して社会に対して何かメッセージを発信するような、身体よりは頭脳優先のむしろ左脳的な部分から発想する作品作りが、特にヨーロッパではメインストリームになってきていると感じていました。一方で、麻莉子さんがこのソロ作品の寄せていただいた文章の中に、「自分がいつも踊ったりしていたってことが、後で初めてダンスなんだって気が付いた」という言葉があって、それが私にとって非常に印象的だったんです。麻莉子さんの身体は、すごく鍛えられていて技術も素晴らしい一方で、原初的なものも思考している。そのアンビバレントな近代性と原初性が共存している感じしていました。ソロ作品は、それが一番コアにある部分だと感じていて、それでソロ作品の上演を依頼しました。そこから3年が経過しましたが、ちょうどこの3年は、DaBYがスタートしてからの3年なんです。麻莉子さんにとって、ソロが原点だとすると、次のステップとしてご一緒できるのにデュオが良いのではないかと考えていました。前提が長くなってしまいましたが、今回、麻莉子さんに作品の創作についてお声がけをした時にアリスさんと踊りたいという話が上がりました。その経緯について、お話しいただけますか? 柿崎麻莉子(以下柿崎):まず、私はダンスがすごく好きで、踊ることも大好きだし、踊っている身体を見ることも大好きで。踊っている身体というのはテクニックだけではなくて、その人の心が動いている様子を見る

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