優しい味のタイ料理

きょう、カオサンで出会った女の子にタイ料理を教えてもらった。

私は悲しい時はタイ料理を食べると決めている。タイ料理が好きだからというよりも、あの辛さ、さっきまで自分のすべてだった重い感情を身体感覚がビリビリと追い超す感じが好きだ。韓国料理でも良さそうなものだけど、そこはなぜかタイ料理なのだ。理屈じゃない。

友達になった女の子の名前はカトゥーン。22歳の大学生で、英語を勉強するためにカオサンストリートのツアーショップでアルバイトをしている。まったく出会いというものは計り知れない。出会った時は客と売り子だった。最も友達になりにくそうなシチュエーション。

カトゥーンが他の売り子と違ったのは、売ろうとしてこないことと、いらいらしないことだった。ニュートラルに接してくれるのに甘えて、30分くらい冷やかし客をしていた。

タイ料理に思い入れがある私なので「あなたの友達に安くタイ料理を教えてくれるひとはいない?」と聞いてみた。観光客用の料理教室は1000バットくらいだが、その支出はいまの私には安くない。それほど期待せずにたらたらと話をしていると何を思ったのか「私のママが料理上手だから、うちにくればいいさ!」と家に招待してくれた。

市内から車で15分くらいにある実家はタイにきて初めてみる清潔な住宅街にある。当たり前だけど、どこの国にもいろいろな生活をする人がいるのだ。カトゥーンの家族も暖かく受け入れてくれた。カトゥーンが言っていたように、ママの料理の腕はぴか一!!超清潔&プロフェッショナル!!茶色く濁った水で食器を洗っている出店のおばさんたちにみせてやりたかった。トムヤンクンにグリーンカレーにココナッツバナナ。私に気を使って辛さ控えめで作ってくれたトムヤンクンはいつもの刺激的な味とは違う、優しい味がした。

それにしても道で出会った通りすがりの旅人に家の門を開ける人がどこにいるのか。「観光客を家に連れてきたのなんて初めてだよ~!」とガハガハ笑っていたけど、逆に心配になってしまう。

普通に店の前を通り過ぎていれば、料理教室のことを訪ねなければ、友達にならなかったであろうカトゥーン。ほんとうに出会うべくして出会っているのだとしたら、この世界は面白すぎる。

だから、このタイ料理のレシピは忘れたくない。タイ料理、さらに好きになっちゃったな。


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